お気に入りの食器が割れてしまったとき、「また使いたい」と思う方は多いはずです。
しかし、修理に使える接着剤選びで「安全なの?」「耐熱性や耐水性は大丈夫?」と不安になることも少なくありません。
この記事では、食器に使える接着剤の選び方や安全性、具体的な商品例から正しい使い方まで、あなたの疑問や不安にしっかり寄り添って紹介します。
家族が安心して使える食器をよみがえらせるために、知っておきたいポイントをわかりやすくまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。
食器に使える接着剤の選び方と安全性

食器は口や食品に直接触れるため、接着剤を選ぶ際には安全性を最優先に考えることが大切です。
さらに、用途や素材ごとに適した接着剤を選ぶことで、安心して長く使い続けることができます。
ここでは、食器修理や補修に使える接着剤の選び方と安全性について、基本のポイントを紹介します。
食品衛生法に適合した接着剤
食器に使う接着剤は、食品衛生法に適合していることが大前提です。
この適合とは、接着剤が有害な物質を食品や飲み物に移す恐れがなく、人体への影響がないことを意味します。
パッケージや商品詳細に「食品衛生法適合」や「食品接触可」と記載があるものを選びましょう。
無記載の商品は、念のため避けると安心です。
食器素材別の最適な接着剤の種類
食器には陶器、ガラス、プラスチックなど様々な素材があります。
それぞれの素材に適した接着剤を選ぶことで、しっかりとくっつき長持ちします。
- 陶器・磁器:陶磁器専用のエポキシ系接着剤や瞬間接着剤が適しています。
- ガラス:透明で硬化後も目立たないガラス専用接着剤がおすすめです。
- プラスチック:素材に合わせたプラスチック専用の接着剤が必要です。リサイクル記号も参考にしましょう。
パッケージに「〇〇用」と書かれたものを選びましょう。
耐熱性・耐水性のチェックポイント
食器は、熱い料理や水洗いされることが多いため、耐熱性と耐水性のある接着剤を選ぶことが重要です。
性質 | 推奨される場面 | 確認方法 |
---|---|---|
耐熱性 | 電子レンジ・熱湯を使う場面 | 耐熱温度の数値記載を確認 |
耐水性 | 食洗機・水洗い | 防水・耐水の明記を確認 |
これらの性能表示をよくチェックしましょう。
電子レンジ・食洗機対応商品の見極め
現代の家庭では、食器を電子レンジや食洗機で使うことが当たり前です。
そのため、修理後の安全性を確保するには、これらに対応した接着剤を選ぶ必要があります。
「電子レンジ対応」「食洗機OK」など、パッケージ記載を必ずチェックしましょう。
耐熱性・耐水性だけでなく、繰り返しの使用に耐えるかも確認しておくと安心です。
無臭・低刺激性の重要性
食器に使う場合は、無臭や低刺激性の接着剤を選ぶこともポイントです。
臭いの強い接着剤は、料理や飲み物に香りがうつる心配があるため、可能な限り避けましょう。
無香料や低刺激と明記されているものを選ぶと家族みんなが安心して使えます。
小さなお子様やペットのいる家庭向けの選択基準
小さなお子様やペットがいる家庭では、特に安全性に配慮した接着剤選びが求められます。
- 誤飲や誤触を防ぐため、使い切りタイプや容器に工夫があるものを選びましょう。
- 有害成分を含まない、または低刺激性・無毒性の製品を選ぶと安心です。
- 使用後は必ず高い場所や手が届かない場所に保管してください。
家族全員の安全を守るため、成分や用途をしっかり確認しましょう。
接着剤の安全性表示とラベルの見方
市販されている接着剤には、安全性や使用方法についての情報がラベルに記載されています。
表示例 | 意味 |
---|---|
食品衛生法適合 | 食器や食品が触れる部分に使用可能 |
耐熱〇〇℃ | 指定温度まで加熱可能 |
耐水・防水 | 食洗機や水洗いに対応 |
電子レンジ対応 | 電子レンジでも安心して使用可能 |
ラベルをしっかり確認することで、食器への適合性や安全性を間違いなく判断できます。
食器に使える接着剤の主な種類

食器が割れたりひび割れたりした場合でも、適切な接着剤を使えば元通りに修理することができます。
ただし、口に触れるものや高温になる場面で使うため、安全性や耐熱性を考慮した接着剤の選び方が大切です。
ここでは、主に食器に使える代表的な接着剤の特徴や違いについてご紹介します。
エポキシ系接着剤
エポキシ系接着剤は、2液を混ぜ合わせて使うタイプの接着剤です。
強力な接着力があるため、割れた陶器や磁器の修理によく使われています。
耐熱性や耐水性にも優れており、食器のような日常的に扱うアイテムにも安心して使用できます。
ただし、硬化までに時間がかかるため、修理後はしっかり固定して乾燥させることが大切です。
特徴 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
2液型で強度が高い | 耐熱・耐水性に優れる | 混ぜる手間がある |
硬化時間が長め | 接着後も長持ちしやすい | 扱いに慣れが必要 |
瞬間接着剤
瞬間接着剤は、手軽さが魅力の接着剤です。
すぐに接着するため、急ぎで修理したいときに重宝します。
少量で接着できるので細かい箇所にも使いやすいです。
- 速乾性があり、誰でも簡単に使える
- ガラスや陶器など幅広い素材に対応
- 医療グレード製品なら食器にも比較的安心
ただし、耐水性や耐熱性はエポキシ系に比べてやや劣るため、食洗機を使う場合や高温での使用には注意が必要です。
シリコン系接着剤
シリコン系接着剤は、柔軟性と耐熱性に優れているのが特徴です。
特に耐水性が高く、洗浄や温度変化にも強く耐えます。
硬化後もある程度の弾力が残るため、割れやすい部分の補強にも向いています。
臭いが気になる場合もあるので、使用する前に換気を良くすることをおすすめします。
また、食器に使えるかどうか、パッケージや説明書をよく確認しましょう。
伝統技法「金継ぎ」に使われる接着剤
金継ぎは、日本の伝統的な食器修復技法です。
漆を使って接着し、その上から金や銀粉を施して美しく仕上げます。
- 漆(うるし):天然素材で安心して使える
- 小麦粉や米粉:漆と混ぜて使うケースもある
- 食器本来の風合いを楽しめる
化学接着剤を使わず、自然素材だけを使って修復するため、食器への影響も少なく、見た目も味わい深くなります。
手間はかかりますが、食器に対する愛着がより深まる方法です。
食器の修理に使えるおすすめ接着剤

お気に入りの食器が割れてしまったとき、すぐに買い替えずに修理できる接着剤があると便利です。
食器は口に触れるものなので、安全性や耐水性の高い専用の接着剤を選ぶことが大切です。
ここでは、食器の修理に使える人気の接着剤を紹介します。
コニシ アロンアルフアシリーズ
コニシのアロンアルフアシリーズは、瞬間接着剤の代表的な商品で、手軽に使えるのが魅力です。
陶器や磁器の食器に使えるタイプもあり、衝撃や水にも比較的強いのが特長です。
乾いた後は透明になるので、修理箇所が目立ちにくいのもポイントです。
ただし、食器によっては使用できない場合もあるので、パッケージの表示を必ず確認してください。
- 瞬間接着で素早く修理できる
- 乾燥後は透明で目立たない
- 陶器・磁器におすすめ
セメダイン スーパーXシリーズ
セメダイン スーパーXシリーズは、高い耐久性と耐水性を持つ多用途接着剤です。
柔軟性があり、食器がぶつかるようなシーンでも、衝撃を吸収してくれます。
熱や水に強いので、洗える食器の修理にも向いています。
また、優れた接着力で細かな部分もしっかり直すことができます。
特徴 | 詳細 |
---|---|
耐水性 | 水洗いにも強い |
柔軟性 | 割れやすい部分も保護 |
用途 | ガラス・陶器・プラスチック等 |
ゴリラグルー
ゴリラグルーはアメリカ発の強力接着剤として知られており、水にも熱にも強いのが特徴です。
乾燥すると耐久性が非常に高く、屋外でも使用できるほどの接着力を発揮します。
食品に直接触れる部分には使用を控える必要がありますが、持ち手や欠けた部分の修理に適しています。
しっかりと硬化させることで、安定した仕上がりになります。
タイトボンド3
タイトボンド3は木工用として有名ですが、陶器やガラスにも対応している耐水性の高い接着剤です。
特徴は、食器洗浄機での使用にも耐えることができる強い耐水性能にあります。
乾いた後も弾力があり、欠けた部分をしっかり補修できます。
木製食器やコップの取っ手などに向いています。
100均で手に入る食器用接着剤
最近は100円ショップでも、食器専用の接着剤が販売されています。
手軽に手に入る価格で、ちょっとした補修に使いたい方に人気です。
食器用とうたわれている商品は、耐水性・耐熱性があるのが特長ですが、長持ちさせたい場合は注意が必要です。
使う際は必ず商品の説明書きをよく読み、用途に合ったものを選びましょう。
一部の100均接着剤は下記のような特徴があります。
- 小さな食器のひびの補修に便利
- 接着後も比較的早く使える
- 用途に注意しながら使うことが大切
食器に使える接着剤の正しい使用手順

食器の修理や補修を行う際には、専用の接着剤を正しく使うことが大切です。
順番やコツを押さえれば、きれいな仕上がりが期待できるだけでなく、長持ちさせることも可能です。
以下のステップに従って、安全に確実に作業を行いましょう。
接着面のクリーニング方法
まず最初に大切なのが、接着する食器の表面をしっかりときれいにすることです。
ほこりや油分が残っていると、接着剤の密着力が弱くなります。
クリーニングの手順は以下の通りです。
- 中性洗剤を使って接着面をやさしく洗います。
- スポンジや柔らかい布で汚れを落とします。
- すすぎを十分にし、水気を残さないよう乾いた布でしっかり拭き取ります。
- 可能であれば、接着前に少し時間をおいて自然乾燥させるとさらに良いです。
この手順を守ることで、接着力が格段にアップします。
接着剤の適量と塗布のコツ
接着剤は多ければ良いというわけではありません。
塗りすぎると、はみ出した部分が目立ったり乾燥に時間がかかることがあります。
適量を均一に塗り広げることが大切です。
食器のタイプ | 適切な接着剤の量 | おすすめの塗布方法 |
---|---|---|
小皿やカップ | 1~2滴程度 | つまようじなどで薄くのばす |
大皿やボウル | 3~5滴程度 | ヘラや細い棒で均等に塗る |
作業時は指につかないよう注意し、小さなブラシや竹串を使うと便利です。
固定・圧着の仕方
接着剤を塗ったら、すぐにパーツ同士を合わせて正しく位置を決めます。
ズレやすいので、安定した台の上で静かに押さえましょう。
しっかり密着させるコツは、均一な力で数分間圧着することです。
テープや輪ゴムなどを使って固定すると、手が離せて便利です。
乾燥・硬化時間の目安
接着剤によって乾燥・硬化の目安時間が異なるため、パッケージの表示を確認しましょう。
主な目安は以下の通りです。
接着剤の種類 | 乾燥・硬化時間 |
---|---|
瞬間接着剤 | 5~10分(強度が出るまで1時間程度) |
エポキシ系接着剤 | 30分~1時間(完全硬化は24時間) |
完全に固まるまで触れたり洗ったりしないよう注意しましょう。
仕上げと表面の処理方法
接着剤がはみ出した部分は、固まる前に濡らした綿棒や布で優しく拭き取るのがポイントです。
固まってしまった場合は、カッターや細いやすりで丁寧に削り落とします。
最後に、食器の表面を乾いた布できれいに拭いて仕上げましょう。
見た目が気になる場合は、食器用の補修ペンなどで目立たなくする方法もおすすめです。
食器補修後の安全な使い方と注意点

食器を接着剤で補修した後は、元通りに使えるように見えても、いくつかの点に注意する必要があります。
食事や飲み物が直接触れるものなので、安全性や衛生面に配慮した使い方が大切です。
間違った取り扱いをすると、修理部分が外れたり健康被害につながる場合もあるため、補修後の正しいケアや長期的な使い方を把握しましょう。
修理後の食器の取り扱い
接着剤で修理をした食器は、取り扱い方に工夫が必要です。
接着剤部分は完全に乾燥し、固まるまでは使わないようにしてください。
補修した部位を強くこすったり、たわしで洗うと接着面がはがれるおそれがあります。
特に洗う際は、柔らかいスポンジと中性洗剤を使うと安心です。
- 補修部分は熱や衝撃に弱いため、無理な力をかけない
- 食器洗浄機の使用は控える
- 長時間の水浸しは避ける
日常使いする際は、少し注意を加えるだけで補修した食器を長持ちさせることができます。
再加熱時・電子レンジ利用時のリスク
接着剤で修理した食器は、電子レンジやオーブンの使用には特に注意が必要です。
一般的な接着剤は高温にさらされるとはがれたり、有害物質が溶け出す可能性があります。
加熱方法 | リスク | 推奨可否 |
---|---|---|
電子レンジ | 接着面の耐熱性不足、成分溶出 | 使用不可 |
オーブン | 高温での接着剤劣化や剥離 | 使用不可 |
食洗機 | 高温・水圧での剥離 | 非推奨 |
補修後の食器は、なるべく電子レンジやオーブンでは使用せず、常温や冷たい物での利用をおすすめします。
金継ぎとの違いと長期的な安全性
金継ぎは日本伝統の食器修理技法で、漆と金粉を用いて割れや欠けを修復します。
一方、一般的な接着剤は主に化学成分でできているため、食べ物と直接接する部位に使用する際は安全性の観点で金継ぎとは異なります。
金継ぎは天然素材を使うため、経年劣化しにくく、長期の使用でも安心です。
ですが市販の接着剤は経年変化でひび割れたり変色することがあります。
- 金継ぎは修理痕を生かす美しさと安全性がある
- 接着剤修理は低コスト・短時間で済むメリットも
長期の安全性を求めるなら、用途や使い勝手に合わせて補修方法を選ぶとよいでしょう。
補修部分の強度テスト
補修した食器を長く使うためには、修理部分がしっかり固定されているか事前に確認しましょう。
次のような強度テストを行うのがおすすめです。
- 接着剤の指示通り十分に乾燥・硬化させる
- 軽く指で押してみて、グラつきやズレがないか確認
- 食器を洗う前にぬるま湯でやさしくゆすぐ
- 安全性が確認できるまで重量物や高温物の使用は避ける
もし不安が残る場合や、接着面に少しでも違和感があれば、無理に使用せず再度補修するか、専門業者に相談しましょう。
食器に使える接着剤を選ぶときの最終ポイント

これまでご紹介してきたように、食器に使える接着剤は種類や用途によって選び方が異なります。
大切なのは、接着したい食器の素材や用途、さらに仕上がりの見た目など、自分の希望に合った接着剤を選ぶことです。
また、安全性や耐久性といったポイントも忘れずにチェックしましょう。
修理に挑戦することで、愛着のある食器を長く使い続けることができます。
この記事でご紹介したポイントを参考に、ぜひご家庭の食器修理に活かしてみてください。